家づくりコラム

2024.09.27

コラム新築をコンパクトかつ充実の住まいにするためのコツ・注意点を解説

昨今は値上がりや家族構成、価値観の変化などの影響で、富山でもコンパクトな家が増えてきています。コンパクトにしていくと閉塞感が出ない?といった不安を払拭するためのコツや注意点を紹介していきます。延床30坪台の施工事例も紹介しながら解説します。

 

 

 

今回は、YUIで建築いただいたお客さまの施工事例から、30~35坪前後のコンパクトな面積でも充実感の高い住まいにするためのポイントを解説していきます。

 

従来、北陸エリアは地域柄として家が大きい傾向にありましたが、昨今は35坪前後の「必要最小限」の家(富山の地域柄では)が人気です。

 

その人気の理由や、コンパクトだからこそ気を付けたいポイントを、事例も交えながらわかりやすく紹介します。

 

それでは今回の記事の要点からみていきましょう。

 

 

 

・コンパクトな家に必要なことは、床面積ではみえない立体的な空間の創り方と視線の抜け

 

・空間は床面積よりも、縦方向の方が広がりを感じる影響度が大きく、平面図だけでは広い・狭いは判断できない

 

・方位に応じて窓の使い方を柔軟にすること、そしてプライベート感が出る工夫をすることで充実感につながる

 

・床面積を抑えながらも、昨今人気が高い1階寝室を採用している部分にもコンパクト化の秘密があります

 

 

1. コンパクトな家で必要な要素は「空間の立体的な見え方」

天井高や窓の設計について、知っておくとよいポイント

床面積を広くすれば、当然広さは感じやすくなります。

 

しかし、大事なポイントは面積だけでなく、立体的な空間から広さを考えないといけません

 

特にコンパクトな家であることから、使える床面積が限られた状態からどこまで広く見せることができるか?は重要な要素です。

 

広さを感じる影響が大きいポイントは、床面積・天井高・窓の大きさや位置など様々です。

 

ここでは床面積以外の天井高や窓の設計について、知っておくとよいポイントをみていきましょう。

 

1-1. 天井高の影響は大きい

コンパクトでも広く感じるリビング

出典:コンパクトでも充実の住まい

 

日本建築学会計画系論文集からも、人は床面積以上に高さに依存して広さを感じとる、という研究結果が出ています。

(※引用および参考文献:建築内部空間における天井高の認知構造

 

実験では、同じ「容積」のときに、水平方向の広さ(床面積)よりも垂直方向の高さ(天井高)が高い空間の方を広く感じた人が多かったということがわかっています。

 

つまり、人間の感覚からも、高さ方向を強調する傾向があると考えられており、天井を高くすることが空間の広さにより繋がり、気持ち良い空間へと昇華するとされています。

 

スキップフロアなどを活用する1.5階がある場合、「高さが影響することをより強調するような意見もみられた」という意見もあり、空間の広がりに有効的な手段でもあります。

 

このようにコンパクトな床面積の家でも広さを感じるためには床面積だけでなく、天井の高さや、その空間に入った時の「感覚を設計」することが重要です。

 

1-2. 窓で水平方向の広がりを伸ばす

窓が広さを演出するリビング

出典:YUI 施工事例

 

平面図だけでは広い・狭いは判断できません。

 

天井高さだけでなく、窓の使い方・見せ方でも空間の広さの認知は変わってきます。

 

上図の事例写真は、建物全体としては25坪以下の施工事例になっていますが、LDKだけでも狭く感じることは少ないでしょう。

 

その主な理由は、「天井高 × 窓の広がり」になります。

 

ただし、窓は広さを感じるためには必要な要素ですが、単純に大きくたくさんとればいいわけではありません。

 

窓が多すぎると耐震上のデメリットにもなりえるだけでなく、断熱・省エネの観点からもデメリットが大きくなります。

 

そのため、窓は必要最小限かつ適材適所がもっとも求められる部位でもあることから、非常にバランス感が求められる部位であり、設計者の力量で左右されます。

 

住宅としての性能は担保した上で、空間に立ったとき、その空間で多く滞在する場所からの見え方などを総合的に鑑みて設計できるかどうか?が大事なポイントです。

 

2. 窓とプライバシーの両立

空間の広がりを損なう可能性があるカーテン

窓で水平方向の広がりを伸ばす、という解説をしましたが、空間の広がりを確保するために「邪魔」になってしまうアイテムが「カーテン」です。

 

カーテンはプライバシーを守るために窓とセットで必須のアイテムですが、外からの視線が完全にカットされていれば、普段は開放しておくこともできます。

 

2-1. 北側の窓はやさしい光が取り込める

やさしい光が入る北側の窓

出典:コンパクトでも充実の住まい

 

北側の窓というとネガティブなイメージがありますが、北側は年中安定してやさしい光を取り込めるメリットがあります

 

北側=冬は寒そう、というイメージが先行するとともに、窓の近くは寒いという感覚の方が多いでしょう。

 

しかし、昨今の高性能窓であればそこまで心配せずとも、大きな窓を設ける事ができますので、コンパクトな家の開放感を広げる目的では有意義な手段でもあります。

 

ただ、北側に設ける窓には注意点もあります。

 

それは北側に建っている家から見ると、自邸は南側になることで、「よく見られる場所」に位置することです。

 

そのため、北側の家からの視線が入らないような窓の位置や、窓の種類などの工夫が必要になってきます。

 

2-2.インナーテラスとの併用

開放感のあるインナーテラス

出典:素材を楽しむガレージハウス

 

外からの視線をカットしながら、開放感を確保するのであればインナーテラスとの併用が必須になってきます。

 

有効な手段としては、上図の事例のようにインナーテラスとして壁面を設けておくこともよいでしょう。

 

昨今はブロック塀ではなく、中身が発泡スチロールの壁で仕上げる壁もありますので、コストだけでなく耐震上の不安も払拭できます。

 

3. コンパクトでも1階寝室にするためのコツ

ウォークスルークローゼット併用の1階寝室

昨今は平屋、もしくは1階に寝室をもってくるプランが人気ですが、コンパクトな設計との両立は結構難しいです。

 

そこで空間の有効利用を図るために、おすすめな設計が「ウォークスルークローゼット併用の1階寝室」です。

 

一般的には、寝室に「ウォークインクローゼット」を併設することが多いですが、1方向から出入りするウォークインクローゼットは、収納力を最大限にする一方、寝室から入って「奥側」に設けることが一般的です。

 

部屋の奥側に設けると、面積を多くとってしまうことにもなるので、通路とクローゼットを併用しているウォークスルー型収納にすることでコンパクト化することができます。

 

なお、1階寝室に関するコラムもありますので、気になった方はご覧ください。

 

1階寝室プランのデメリットとは?コスパよく1階寝室にするためのコツも

 

1階寝室の知られざる魅力と、後悔しないように注意すべきことは?

 

4. YUIの施工事例の中でコンパクトな建物

 

4-1. 立ち止まって感じる心地よさ|永楽町モデル

開放感のあるコンパクトハウス

出典:立ち止まって感じる心地よさ|永楽町モデル

 

1例目は、延床面積が31.5坪の事例です。

 

2024年春頃までモデルハウスとしていた施工事例ですが、窓とリビング内階段・吹き抜けを使って開放感を最大化させている事例です。

 

LDKには2方向の窓に加えて、富山市内の中心部に近い位置での建築で、隣地なども隣接している中、開放感を創り出すためにインナーテラスでカーテンいらずな設計にしています。

 

これも平面図だけでは成り立たない、立地まで含めた空間設計を意識して、延べ床面積以上の広さを創り上げます

 

4-2.  コンパクトでも充実の住まい

程よいサイズ感のコンパクトリビング

出典:コンパクトでも充実の住まい

 

2例目は延べ床面積で27.3坪の事例になっています。

 

富山県の感覚からは30坪を切っていることで、コンパクトな部類に入りますが、スキップフロアを活用したリビングや、こちらも2方向の窓などを組み合わせながら狭さを感じさせない設計になっています。

 

まさに全体としてはコンパクトにまとめながらも、機能的で充実した使い方ができる、流行りの「コンパクトなちょうどいい大きさ」を実現した事例です。

 

なお、このように大きな窓を設けていても、YUIではZEHレベルの断熱性・省エネ性も持ち合わせて設計していますので、温熱環境もバッチリです。

 

     

 

5.まとめ

コンパクトな35坪前後の間取りにおけるポイント

出典:街中の白いデザイナーズハウス

 

今回は、富山では比較的コンパクトな35坪前後の間取りにおけるポイントを解説してきました。

 

床面積だけでは大きい・小さいと判断できないことや、床面積以上の広さを演出できるかどうか、は住宅会社側の設計スキルによるところも大きいです。

 

YUIでは、様々な大きさの新築を請け負っていますが、昨今は30坪台前半のご依頼もおおくなってきており、施工例も今回紹介した建物以外も豊富にあります。

 

気になった方はぜひ、YUIでの見学会なども通じてご案内させていただけます。

 

また、事例1で紹介した建物は、こちらのコラムで詳しく解説していますので、気になった方はあわせてご覧ください。

 

デザイン住宅を創る"細かすぎる"こだわりポイント~永楽町モデルハウス~

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