1. コンパクトな家で必要な要素は「空間の立体的な見え方」
床面積を広くすれば、当然広さは感じやすくなります。
しかし、大事なポイントは面積だけでなく、立体的な空間から広さを考えないといけません。
特にコンパクトな家であることから、使える床面積が限られた状態からどこまで広く見せることができるか?は重要な要素です。
広さを感じる影響が大きいポイントは、床面積・天井高・窓の大きさや位置など様々です。
ここでは床面積以外の天井高や窓の設計について、知っておくとよいポイントをみていきましょう。
1-1. 天井高の影響は大きい
日本建築学会計画系論文集からも、人は床面積以上に高さに依存して広さを感じとる、という研究結果が出ています。
(※引用および参考文献:建築内部空間における天井高の認知構造)
実験では、同じ「容積」のときに、水平方向の広さ(床面積)よりも垂直方向の高さ(天井高)が高い空間の方を広く感じた人が多かったということがわかっています。
つまり、人間の感覚からも、高さ方向を強調する傾向があると考えられており、天井を高くすることが空間の広さにより繋がり、気持ち良い空間へと昇華するとされています。
スキップフロアなどを活用する1.5階がある場合、「高さが影響することをより強調するような意見もみられた」という意見もあり、空間の広がりに有効的な手段でもあります。
このようにコンパクトな床面積の家でも広さを感じるためには床面積だけでなく、天井の高さや、その空間に入った時の「感覚を設計」することが重要です。
1-2. 窓で水平方向の広がりを伸ばす
出典:YUI 施工事例
平面図だけでは広い・狭いは判断できません。
天井高さだけでなく、窓の使い方・見せ方でも空間の広さの認知は変わってきます。
上図の事例写真は、建物全体としては25坪以下の施工事例になっていますが、LDKだけでも狭く感じることは少ないでしょう。
その主な理由は、「天井高 × 窓の広がり」になります。
ただし、窓は広さを感じるためには必要な要素ですが、単純に大きくたくさんとればいいわけではありません。
窓が多すぎると耐震上のデメリットにもなりえるだけでなく、断熱・省エネの観点からもデメリットが大きくなります。
そのため、窓は必要最小限かつ適材適所がもっとも求められる部位でもあることから、非常にバランス感が求められる部位であり、設計者の力量で左右されます。
住宅としての性能は担保した上で、空間に立ったとき、その空間で多く滞在する場所からの見え方などを総合的に鑑みて設計できるかどうか?が大事なポイントです。