2. 結のデザイン上の細かいこだわり
それでは、今回の記事の核となる「細かいこだわり」をこちらの施工事例を基に紹介していきます。
2-1. 玄関
・来客用の動線と、生活動線として車庫から入る動線を分けている
・天井高いっぱいまでに窓を設計し、薄框と細い幅木を使うことでシャープな印象を創る
・テラスのタイルと玄関タイルの目地ラインを揃える「こだわり」が生み出す統一感
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まず一般的な玄関は、靴を収納するボックスなどがあったり、シューズクロークへの扉があります。
今回の事例では扉も収納ボックスもなく、スッキリさせてホテルライクな魅せ方に注力しています。
ただし生活動線として、インナーガレージから入れる動線側に収納類を多く設けており、デザインだけでなく使い勝手にもこだわっています。
また、この玄関のデザイン上のポイントは窓・框(かまち)・幅木の3つです。
薄框と細い幅木で納めており、入った瞬間のシャープな印象は薄框と幅木から生まれるもので、できるだけ空間ノイズを排除したシャープな印象を創り出します。
そして入った瞬間の「視線の抜け~シンプルな中庭~インナーテラスの視線の留め」に至るまでの開放感と、それをジャマしない窓を床から天井まで名一杯に取っています。
さらに、結では玄関タイルと中庭のタイルを統一するだけでなく、目地のラインも現場で揃えることにより、中と外の空間の連続性、法則性のある統一感を演出しています。
ここは、事前の打合せで指定があったわけではなく、デザインに対する現場監督さん・職人さんの想いから、乱れの無いデザインに仕上がっていると言えます。
2-3. リビング
・カーテンレールは見せない、壁と自然な形で一体化することと、壁見切縁などのノイズを出さない工夫を施している
・階段を側面から見た場合のノイズをなくすため、階段の側板の内側に手すりを設置
・収納部を壁のような納まりにして生活感をなくしている
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玄関~リビングの入口はブラックガラスのドアを採用し、非日常空間のような入口としています。
◆吹抜の納め方
また細かいポイントは、建具を天井まで持ってきていることでデザインを崩さない工夫がされています。
そして一般的にここまで大きい吹き抜けの場合、1階と2階の間の壁に「壁見切縁」という部材がきます。
1階と2階の構造上の微細なズレなどを目立たせないように入れる部材ですが、どうしても空間ノイズになります。
当施工事例では、デザインで壁見切りの代替として、そしてカーテンレールを見せないよう壁と自然な形で一体化させることで、空間全体のバランスを調和させています。
壁を ” ふかせる ”(少し前に出す)ことで間接照明にも、カーテンレールにも、壁見切りの代わりにも、空間のアクセントにもなる設計になっています。
また、施工的にも難しい部分でもありますが、結の職人さんによる高い技術力に支えられている点も忘れてはいけません。