1. 部屋を広く感じるための3要素
人は床面積だけで空間の広さを感じ取っているわけではありません。
床面積以外で空間の広さを感じる要素は3つあり、「天井の高さ」「家具などの配置」「視線の抜け」と言われています。
まずはそれぞれの内容をみていきましょう。
1-1. 天井の高さ
天井が高いリビングを話題にした広告がありましたが、天井高さが空間に与える影響は大きいです。
同じ床面積でも、天井高が高いことによる視覚効果は広がりをもちます。
人は、同じ ” 容積 ” であれば、床面積が10%小さくても天井高が10%高い方が、広く感じると言われています。
しかし、天井高を高くすれば広く感じることができる反面、デメリットも出てきます。
それは、空間体積が大きくなりエアコンなどの冷暖房エネルギーが大きくなることと、建築コスト(外壁・構造躯体・石膏ボード・断熱材など)が高くなることです。
1-2. 家具などの配置
同じ容積の空間でも家具などの配置バランスによって、広さの感じ方が異なるという研究があります。
東大の建築教授であった西出教授の研究(室空間における空間欠損と容積の知覚・印象評価の関係に関する基礎実験 )を引用します。
1つの空間で同じ数の段ボール箱を並べても、「壁面1面に揃えて並べる時」と「飛び出したように置く時」では、空間の広さの感じ方が大きく異なる結果が出ています。
結では、背の高い家具は壁面に接して圧迫感を減らしたり、家具や建具の取っ手の「出っ張り」、造作部材の出っ張りなどを極力減らし、面を揃えてスッキリさせることに配慮して設計しています。
空間ノイズ・圧迫感を減らすことは、部屋の広がりにも影響を与えていきます。
1-3. 視線の抜け
空間の広さを感じるためのテクニックとして、視線の「抜け」と「留め」という考え方があります。
窓を設けると視線が遠くまでいくため、「視線の抜け」が確保できますが、一方で抜けばかりでは落ち着かない空間になりがちです。
コレといった法則はありませんが、間取りに応じて「抜け」と壁などで囲う「留め」のバランスが大事です。
注意すべきポイントは、単純に「窓を大きくして視線の抜けをたくさんつくること」 = 「広く感じるようになる」わけではないことが注意点です。
窓が大きいと外部からも視線が入りやすくなりますので、外部からの視線カットの方法や、どこに窓を持ってくるか、なども大事な要素です。
上図の事例のように、インナーテラスとして壁を設けておくことも開放感を創るための大事な要素です。