2025.10.10

2026年度の新築向け補助金制度をいち早く解説していきます。なお今回の記事内容は環境省や国土交通省の概算要求をもとに作成していますので、あくまで予測の内容を含んでいます。また補助金制度を活用するにあたり、注意すべきポイントも紹介します。
今回は、毎年取り上げている次年度の新築向けの住宅補助金を紹介します。
来年、2026年に家づくりを本格的に考えている方に向けて、保存版の内容となっています。
こちらのコラムの内容を参考に、家づくりをスムーズかつ満足度の高いものにしていきましょう。
それでは、今回の要点から見ていきましょう。
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・2026年の新築に関係する補助金は、2025年の制度と内容自体は類似する傾向
・2026年のZEH補助金額は45万円/戸で、断熱・省エネ仕様が高いZEH+で80万円/戸 ※概算要求での内容であり確定情報ではありません
・子育てグリーン住宅支援事業の後継事業の継続可能性は高いと思われるものの、補正予算の成立次第
・補助金を活用するためには、スケジュールや仕様で制約が発生する側面も理解して、補助金を活用するかどうか?を冷静に考えましょう
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2. ZEH補助金・2026年度版
本予算で毎年組まれてくるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業の2026年度版の概要をお伝えしていきます。
2-1. 2026年の補助金額は45万円 or 80万円
出典:住宅の脱炭素化促進事業(経済産業省・国土交通省連携事業)
富山県は全域で「5地域」というエリアになり、補助金は基本が45万円/戸、そしてZEHより断熱性や省エネ性が高いZEH+(ゼッチプラス)は80万円/戸となっています。
パッと見では、80万円の補助金を狙いにいきたくなりますが、断熱性や省エネ性をアップさせるためには建築費用も高くなっていきます。
そのため、補助金の額だけでなくトータルでのバランスなどを考えて補助金を活用していくことが大事です。
つづいては、ZEHとZEH+の違いを見ていきましょう。
2-2. ZEHとZEH+の違い
出典:住宅の脱炭素化促進事業(経済産業省・国土交通省連携事業)
戸建てを中心に解説していきますが、大きな違いは断熱性能と省エネ性能です。
断熱性能は、ZEHが等級5、ZEH+が等級6となっています。
断熱等級は全部で7等級あり、数字が大きくなっていくほど断熱性能が高いことを意味します。
富山県では具体的に家全体の断熱の平均値(UA値)が、等級5では0.6、等級6では0.46以下(単位:W/㎡・K)であればクリアします。
また一次エネルギー消費量とは、住宅設備機器がどれだけエコなのか?を表すものです。
具体的な削減率とは、平成28度基準の標準的な家の仕様から比べて、何%程度省エネな家になっているのか?を示すもので、仕様・設計をある程度決めて計算で導き出します。
これらの基準に適合するかどうか?は、間取りや使う断熱材・窓の種類・設備機器の能力などによって変動するため、間取りを設計してみないと確定はできませんが、YUIでは標準的にZEHはクリアできる仕様になっています。
3. 子育てグリーン住宅支援事業の後継事業の行方
2025年に最注目された住宅系の補助金制度である「子育てグリーン住宅支援事業」ですが、もともと「補正予算」で運用されている補助金制度となっています。
そのため、概算要求では「本予算」に対する要求事項がまとまっているため、具体的な言及は見られませんでした。
しかし、今年度の盛り上がりと、ZEH補助金の“下火”具合をみていると、継続の可能性が濃厚であると言えます(確定ではありませんので、今後の情報で随時修正いたします)
さらに補足しておくと、国土交通省・住宅局の概算要求では「新築住宅・建築物の省エネ性能の引き上げ」が主要事項として掲げられています。
それにも関わらず、国土交通省の資料からは具体的な補助金制度の言及は少なかったことからも、補正予算で運用されている「住宅省エネキャンペーン」を継続する期待は高いです。
4. 子育てグリーン住宅支援事業から見る準備の大事さ
出典:予算に対する補助金申請額の割合(新築)
補助金を活用する上での、最大の注意点は「スケジュール」です。
上記は、2025年の子育てグリーン住宅支援事業で最大額がもらえるGX志向型住宅の予算消化状況です。
4月から省エネ法の改正などもあり、確認申請が全国的に混乱していた状況も相まって、予算の消化が7月中旬から急に予算がなくなった事実があります。
業界としても注目の高かった政策なゆえに、補助金消化は早いと予想されていましたが、急に予算が尽きたため、業界関係者も驚いていました。
補助金制度は、このようなことが発生するリスクもあり、補助金を活用する家づくりをするのであれば、2026年5月頃に着工できるように準備しておくことが望ましいです。
4-1. 補助金制度は年度で始まり年度で終わる
補助金制度は、国交省などの省庁が予算を出して行なう事業になっていますが、国の予算は「年度」単位で管理されています。
つまり、本予算であれば4月頃から事業の準備を行ない、次の年の3月に基本的に締めるような形になります。
また、多くの補助金制度は「先着順」で、住宅の場合は補助金を出すために書類などが整っていないと申請すら出せません。
上記の状況をふまえると、4~5月頃に確認申請(家を建てるための公的な申請)を出して許可が下りている状況であればベストタイミングと言えるでしょう。
しかし、まだ確定していない情報をもとに、スケジュールの制約を受けながら家づくりをすすめることもハードルが高く、意外と「融通が利かない」状況も生まれることを知っておきましょう。
4-2. このコラムをご覧になっている方のスケジュール感
2025年10月時点で、これから住宅会社を探すといったような請負契約前の状況の方は、結論から言えば「2025年の補助金は間に合いません」。
ただ、2026年度の補助金であれば、「ちょうどいいタイミング」になる可能性も高く、年末ごろまでに住宅会社を決め契約まですると、次年度もしくは補正予算で組まれる補助金は使いやすいタイミングです。
一方、請負契約をして間取りを考えている方(確認申請が下りていない方)は少し微妙な時期ですが、着工のタイミングによっては来年度の補正予算が使える可能性もあります。
ここからは、あくまで予想の範囲ではありますが、補正予算で組まれる「子育て系の補助金」は、例年補正予算が成立した日(おおよそ10月~11月頃)以降に着工した建物が対象になります。
スケジュール以外の条件もありますので、一概にスケジュールだけで補助金の活用可否が決まるわけではありませんが、補助金を使いたい方は住宅会社の担当者と念入りに打合せをしておくことをおすすめします。
5. 補助金を活用するメリット・デメリット
補助金は「条件に合った新築を建てればお金がもらえる」という仕組みなので、一見メリットしかないように思えます。
しかし実際にはデメリットも存在しており、それがスケジュールと仕様に関する制約です。
来年の4~5月に申請をするためには、逆算してスケジュールを組む必要があります。
つまり、その時点までに住宅会社を決定し、間取りの大枠や省エネ関連の住宅設備まで確定しておかなければなりません。
さらに、間取りや仕様を固めた後には、住宅会社による各種計算やチェックの期間が必要であることに加えて、確認申請の受付はこの4月からの法改正の影響で混乱しており、以前より大幅に時間がかかるようになっています。
このコラムを公開しているのは10月ですが、実際にはこの冬には住宅会社を決め、遅くとも翌年2~3月頃までに間取りや仕様を確定しておかないと、余裕のあるスケジュールにはならないのが現実です。
つまり、補助金を取るために「急がされる」ような状況が生まれることや、今年度のGX志向型住宅の予算消化のように「取れないリスク」があることも忘れてはいけません。
100万円前後の補助金を優先するのか、それとも自分たちのペースで納得いく家づくりを進めるのか。冷静に判断することが大切です。
6. まとめ
今回は、来年度である2026年度の新築向け補助金制度を、国土交通省・環境省の概算要求から予測する内容でお伝えしました。
制度自体は、おそらく今年度と同様の制度になってくることが想定されますが、補助金はどの制度もスケジュールと仕様が合致することが一番の注意点です。
もちろん、もらえるものはもらいたい!思われるのが普通ですが、元々の目的は家づくりです。
補助金の獲得が目的になってしまっては本末転倒なため、自分たちの考え方や価値観を大切にしながら家づくりをすすめていきましょう。
なお、こちらでは補助金を上手に活用するために、さらに家づくり自体を補助金制度にかき回されないために重要な要素を詰めこんだコラムもご覧になってください。
▶ 新築向け補助金は魅力的。でもデメリットも考えて判断するためのコラム








