家づくりコラム

2024.12.13

コラムあたたかく過ごす暖房の選び方。高断熱住宅に最適な機器や考え方とは

高断熱住宅に合った、様々な暖房器具が発売されています。暖房器具ごとのメリット・デメリットを一覧表で解説すると同時に、メインで使われるエアコンの豆知識なども紹介します。コラム後半ではYUIの施工事例をもとに暖房とデザインを両立するコツも解説。

 

富山も本格的に冬らしさが出てきましたね。

 

今回は暖房器具の種類ごとの特徴や、光熱費(ランニングコスト)と導入費用(イニシャルコスト)の目安などをご紹介していきます。

 

魅力的に感じる暖房器具は、本当に自分に合っている?などを考える参考にしてください。

 

それでは、早速今回のコラムの要点から見ていきましょう。

 

 

・様々な暖房器具が存在しますが、導入費用だけでなくランニングコストや、メンテナンスのことも考えて選びましょう

 

・YUIでは、バランスの良さと冷房を兼ねることができる機器であることから、壁付けエアコンもしくは天井カセット型エアコンをおすすめしている

 

・暖房は種類によってランニングコストが大きく異なることと、これから新築する家は「高断熱住宅」が一般的であり、選ぶべき容量は今までの感覚とは違う

 

・コラム後半では、YUIの施工事例をもとにエアコンをデザイン上のノイズにならない工夫を紹介します

 

 

1. 暖房器具の種類まとめ

暖房器具の種類

冷房はエアコン一択になりますが、暖房器具には意外と様々な器具があります。

 

エアコン以外では、床暖房・薪ストーブ・ペレットストーブ・ガスファンヒーター・全館空調など多種多様です。

 

コストや取り替えの簡便さから、エアコンを選択される方が多いものの、家のスタイルや考え方によってはその他の暖房器具の選択肢も考えてみるのもおもしろいです。

 

1-1. それぞれの暖房器具のメリット・デメリット一覧

 

まずは、それぞれの暖房器具のメリット・デメリットをみていきましょう。

 

暖房の種類 メリット デメリット
エアコン ・もっとも熱効率がいい

・冷房を兼ねることができる

・デザインとして目立ちやすい

・風を感じやすい

床暖房 ・足元が暖かくできる

・輻射熱による暖房で快適

・熱源によっては光熱費が高い

(ヒートポンプ式がおすすめ)

・光熱費を考えると温水式一択

薪ストーブ ・家全体が暖かくなる

・環境にやさしくサスティナブル

・すぐ消せない

・維持管理が大変(灰受けの掃除や煙突掃除など)

・防火タイルや離隔距離等の防火上の設計が必要

ペレットストーブ ・部屋全体が暖かくなる

・設置は煙突の設計ぐらいで意外と簡単に導入できる

・電気で動くものが一般的なので、停電時使えない

・ペレット代が意外と高い

※1日10時間使用で約500~700円

・維持管理が大変(灰受けの掃除や排気等掃除など)

・離隔距離等の防火上の設計は必要

ガスファンヒーター

※基本はおすすめしていない

・温まりが早い ・水蒸気が大量発生することで結露のリスクが高い

・ランニングコストが高い

(特にLPガスの場合)

・小さいお子さんはリスクあり

全館空調

※様々な形態あり

・全館、均一な温度になりやすい ・24時間運転が前提のため、ランニングコストが高くなる

・急速な立ち上がりが難しく季節の変わり目は不便に感じることも

・機器によってはメンテナンスで費用がかかることが前提に

 

2. おすすめする暖房器具と知っておくとよいポイント

おすすめの暖房器具

YUIでは、基本的にエアコンをおすすめしています。

 

理由は、エネルギー効率からも最も効率的な暖房器具であること光熱費(ランニングコスト)が比較的安いことと、交換が容易であることの3つの理由からです。

 

ヒートポンプ技術(いわゆる室外機)では、1のエネルギーを5~6倍の熱エネルギーにすることができることから、燃焼系の暖房に比べて圧倒的に効率がよい機器です。

 

エアコン=電気代が高い!と思われがちですが、確かに熱エネルギーを生み出す過程で、他の家電機器に比べて電気を使うものの、暖房の中では効率面から効率がいい機器となっています。

 

YUIでは壁付けエアコンだけでなく、デザイン的な観点から天井カセット型エアコンをおすすめする場合もあります。

 

また、ご要望によっては、もう1つの人気アイテム・床暖房を導入することもあります。

 

床暖房を使う際の熱源(なにで熱を作り出すか?)は、ヒートポンプを熱源にした温水式がおすすめです。

 

その理由は、ランニングコストの安さです。

 

床暖房は導入費用をみると、電気式(電熱線を埋め込むタイプ)の方が安いですが、温水式の方が光熱費が半分以下になるため、10年も使えば簡単にトータルコストが逆転してしまいます。

 

暖房器具を考える際には、このようなランニングコストまで客観的に考える必要があります

 

2-1. 天井カセット型エアコンの誤解

家庭用天井カセット型エアコン

メンテナンスが大変?と最初は懸念される方も少なくないですが、事務所・店舗など非住宅には多く採用されているため、メーカー側も補修部品などはしっかり持っています。

 

また、YUIでお付き合いのある空調換気メーカー・企画担当者さんも、「家庭用の天井カセット型も一定の需要があるので、今後商品自体がなくなることは考えにくい」とのこと。

 

壁付けエアコンでも壊れてしまったら、メーカーを呼んで修理するか丸ごと交換になるためメンテナンス面では同じですが、修理費用は壁付けエアコンに比べて天井カセット型の方が高くなる点は注意点です。

 

◆修理費用の目安:数万円~ ※内容による

 

◆丸ごと交換の費用:本体 / 約20万円~ 工事費用 約10万円~ ※容量により変動

 

3. 年間を通じた空調とコストのバランス

空調とコストのバランス

様々な暖房機器がありますが、年間の四季を考えると冷房も大事なポイントです

 

冷房ができる機器は、一般的なモノではエアコン一択になります。

 

薪ストーブなど、デザイン性やそれでしか表現できないモノに優先度が高い方は別ですが、様々な面を考慮するとエアコンが冷暖房機器のベースになってきます。

 

さらに重要な要素としては、高断熱の数値だけに惑わされ過ぎないこと

 

今の住宅は高断熱が一般的ですが、それを超える超高断熱住宅もあります。

 

YUIでも超高断熱仕様は対応できるものの、積極的にはおすすめしておらずZEH~断熱等級6前後に設計することが多いです。

 

その大きな理由は、暖房器具も省エネな製品がたくさん出てきていることもあり、断熱性能を上げすぎても、体感として差が出にくいためです。

 

さらに、断熱性能をあげるためにはお金もかかるため、費用対効果を冷静に考えることをおすすめしています。

 

◆「冷暖房の効きが悪いと感じた」に対する回答(ZEH調査委員会報告書 2020年)

 

家の断熱性能 N数 「あてはまらない」回答の割合
UA値:0.28以下 110件 夏:92.7% / 冬:98.2%
UA値:0.28~0.40 836件 夏:87.7% / 冬:95.0%
UA値:0.40~0.50以下 2,383件 夏:87.4% / 冬:89.7%
UA値:0.50~0.60以下 2,250件 夏:87.9%  / 冬:89.8%

※6地域のみ

 

例えば、上記のZEH調査委員会の報告でも、断熱性による暖房・冷房の効きを感じる差は、ほんの少しとなっており、家の性能ついても冷静に見ていく必要があります

 

3-1. 高断熱住宅との相性

エアコンと高断熱住宅との相性

エアコンも6帖用といった帖数の目安があるものの、この帖数の基準は、昭和55年のほぼ無断熱の家の断熱性能がベースになっています。

 

その基準に対し、今の高断熱住宅は全く違う家と言ってもいいほど断熱性能が異なります。

 

資源エネルギー庁の見解では、概ね今の住宅であればエアコンの帖数の倍程度の広さをカバーできるとあり、最適なエアコンの能力を見極めることで容量の低いエアコンでも十分カバーできます。

 

ただし、このあたりは日射条件などにもよって変わってくるため、あくまで目安ぐらいに考えてもらえると良いでしょう。

 

4. YUIでの暖房器具に対する工夫と事例紹介

 

YUIではコスト・機能・光熱費のバランスを考えて、エアコンを採用することが多いですが、デザインを考えた時に「ノイズ」になりやすい点でもあります。

 

そこに対する工夫などを施工事例から少し紹介していきます。

 

4-1. 天井カセット型エアコンの事例1

天井カセット型エアコンでスッキリしたリビング

出典:スキップフロアが生み出す視線の変化を楽しむ家 

 

1つ目は、スキップフロアで広々としたリビングが特徴の施工事例です。

 

空間を広く見せるとき、壁付けエアコンは壁から飛び出てしまうため、天井カセット型エアコンを採用し、極力目立たない工夫をした事例になります。

 

ただ、吹き抜けがあると設置する天井面が少なくなることもあり、プラン・デザイン・暖房能力など総合的な判断からご提案を実施しています。

 

4-1. 天井カセット型エアコンの事例2

天井カセット型エアコンの施工事例

出典:開放的で美しいデザインの家

リビングの吹き抜けが印象的な施工事例です。

 

こちらも、ガラス面が多い施工事例であるがゆえに、壁付けエアコンがどこかに出てきてしまうと、非常にもったいない感じになってしまうため、天井カセット型のエアコンを採用されました。

 

スタイリッシュ、もしくはシンプルモダンのデザインを基調とするコーディネートの場合、エアコンの設置位置・方法は設計時においても悩むポイントです。

 

4-3. 壁付けエアコンを目立たせない事例

デザインと機能性を両立した壁付けエアコン設置事例

出典:木の心地よさを感じる平屋

壁付けエアコンを掘り込みをつくって、目立たせないようにしたパターンです。

 

格子などで隠してしまう方が目立たなくなるものの、冷暖房風がショートサーキット※を起こしてエアコンがしっかり機能しない懸念が考えられます。

 

※エアコンが吹き出した冷温風を、近くで吸い込むことでエアコンが正常に動作しない現象

 

そのため、冷暖房風がしっかり部屋に行き渡るような機能面と、デザイン上のノイズを極力減らす工夫を兼ね備えている事例です。

 

4-4. 壁付けエアコンを目立たせない事例

ノイズ感を抑えたエアコン配置の工夫 収納の上部を利用したエアコン設置例
出典:YUI 施工事例(HP・WORKS掲載無)

4例目も、壁付けエアコンをデザイン上、目立たなくした工夫です。

 

収納の上部の空間を利用してエアコンを設置しています。

 

キッチンなどに立ったりする位置から見たときもスッキリしており、ノイズ感を抑えた工夫を施しています。

 

5. まとめ

生活スタイルに合わせた注文住宅

今回は、寒さが本格的になってきた今日この頃にピッタリな暖房器具に関するコラムにしています。

 

エアコンがもっとも一般的ではありつつも、薪ストーブやペレットストーブなど、生活の中の手間を楽しめる方であれば、エアコン以外の選択肢もよいのではないでしょうか。

 

YUIは、みなさんの生活スタイルや要望をもとに一から創り上げていく注文住宅になっています。

 

冷暖房器具は、快適に過ごすために必要不可欠なアイテムですが、意外と設計とのマッチングも難しい機器です。

 

エアコンや暖房器具まで、デザイン上の空間ノイズにこだわりたい方は、ぜひYUIまでお気軽にご相談ください。

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