家づくりコラム

2024.02.09

コラム今だからこそ知っておくべき地震への備え!耐震のキホンとは?

富山でも今回の能登半島地震で液状化や建物の被害がありました。今回は新築を考える上で重要になってくる耐震性の基本をお伝えします。耐震等級とは何?建築基準法を守って新築は建てているんでしょ?といった疑問をお持ちの方にぜひ読んで頂きたい内容です。

 

今回の令和6年能登半島地震により亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

 

さて、富山市付近でも地震による液状化や、倒壊・半壊している家があったりと地震・耐震というキーワードで考えさせられた出来事でした。

 

そこで、新築を検討するにあたり、知っておくべき耐震についての基本的なポイントを紹介していきます。

 

それでは、まず今回の記事の要点からです。

 

 

・建築基準法の耐震性は、震度6強~7程度の大地震で倒壊せずに避難できること、が基準となっています

 

・建築基準法自体も改正を続けられており、そのたびに耐震に関する基準が上がって、2025年にも耐震に関する設計基準などの見直しがされる予定

 

・耐震等級2および等級3は、建築基準法に比べて壁や柱などを多く設計し、建築基準法における1.5倍以上のエネルギーに耐えられる設計

 

・耐震性能は、耐震等級だけでなく制震ダンパーや耐震性の高い工法を使うことでもグレードアップすることができるのと同時に、コストや間取りなど家づくりにおけるバランスも大事となってきます

 

 

1. 建築基準法での耐震性の扱い

建築基準法での耐震性の扱いについて

まず最初に、少し難しい話題から入っていきますが、この根幹となる法律にまつわる部分をしっかり理解しておくことが大事です。

 

建築基準法では、地震が来た時に耐えられるような耐震性を設計する基準を決めています。

 

しかし、この建築基準法の条文を簡単に要約すると「震度6強~7の地震で倒壊しない程度の耐震性を確保すること」とあります。

 

今回の能登半島地震では、輪島市・珠洲市周辺を中心に震度7程度の揺れに見舞われました。

 

建築基準法では、「人命を守ること」が優先事項になっており、震度7の地震で倒壊しないような設計を基準にされており、まずは1発目の大地震で倒壊せずに避難できることが目的となっています。

 

1-1. 建築基準法は改正され続けている

建築基準法は改正され続けている

出典:木耐協

 

建築基準法における耐震性の扱いは、大きな震災がある度に見直しをされている経緯があります

 

今まで1981年と2000年に大きな改正があり、2000年以降の建物であれば「おおむね安心」と言えるものの、2000年以前の物件に関しては「要注意」と木耐協の資料でも注意喚起が出ています。

 

今回の能登半島地震でもニュースなどで目立った倒壊がある物件は、この2000年以前の物件が多く見られ、現行の建築基準法に準じていない建物に多く被害が出ている様子です。

旧・建築基準法の建物に多く被害が発生

出典:木耐協(熊本地震・被害状況)

 

上図は、建築年数ごとの熊本地震における被害状況を表しています。

 

年数が新しくなるにつれ、被害状況も少なくなりつつも、2000年以降の物件でも倒壊や大破に至った事例がありました

 

この中には耐震等級を取得している建物も含まれており、耐震等級があることで必ずしも地震に大丈夫、と言い切れない点が辛いところですが、地震に不安感が高い方は等級3にしておくと損傷・倒壊の可能性を最大限減らせることに繋がります

 

1-2. 「4号特例」とは

耐震性で話題な「4号特例」とは

つづいて、建築基準法の耐震性の話題になると外せないキーワードである「4号特例」です。

 

4号特例とは、今まで木造1階・2階建てに適用されていた法律で、家を建築するための許可(確認申請)を簡略化するために耐震計算の提出が任意になっていた法律の条文のことです。

 

もちろん、すべての工務店で耐震性が建築基準法を満たすような設計がされていますが、その計算した書類を提出せずとも、建築士の責任のもと申請が通過していました。

 

今回の能登半島地震発生以前より、2025年には計算書類の提出が必須に変更されることが決まっていたり、計算方法によっては厳しい基準を課されるような変更が見込まれています。

 

そのため、より一層住宅業界全体的に地震に対して強い家が広がっていくと見込まれています。

 

 

2. 耐震等級とは

耐震等級の3つの違い

出典:SUUMO

 

そして、耐震の話でもう1つ重要なことが耐震等級です。

 

耐震等級は1~3までのグレードがあり、3がもっとも耐震性が高い(=地震に強い家)になっています。

 

上図のように、もっとも耐震性の高い等級3は、建築基準法に比べて1.5倍以上の耐震性を備えているとされています。

 

「1.5倍」ってそもそも何が1.5倍になっているの?と疑問に思う方も多いと思いますが、簡単にお伝えすると壁・柱の量や、壁自体の強度などを複合的に計算して算出した家の頑丈さを表しています。

 

消防署などの災害拠点になる建物は、この耐震等級3を目安に設計されており、住宅においても同様にもっとも高いランクにすることで安心感は高まるでしょう。

 

2-1. 耐震等級3にすることによる影響

耐震等級3にすることによる影響は?

このような大地震が来た直後、多くの方は耐震性を優先した家づくりをされることでしょう。

 

YUIでも耐震等級3への対応など、耐震性を高めた家づくりも承っています。

 

一方、耐震性・断熱性といった性能は、デザインや自由な間取りと相反する関係性にありますので、性能を高め過ぎることでの影響も少なからず見ながら、バランスをどこで取るのか?も考えていくとよいでしょう。

 

家に求めること 使い勝手(機能性) 居心地(デザインや間取り)
家のコンセプト 省エネ性や耐震性 デザイン性
費用の割合 立地や土地・家の大きさ 建物側へのこだわり
住む場所 資産として売れることも考える

(老後なども見据えて)

今の価値観・やりたいことを優先する
住宅会社選び 保証やネームバリュー

→ 大手ハウスメーカー系

設計の自由度やオリジナリティ

→ 地元の会社系

補助金 確実に狙いたい

→ 様々な制約・焦りは出てくる

日程や性能値を気にせず自由に選びたい

 

上図は家づくりのスタートの参考に!住宅会社を選ぶためのキホンと考え方でも解説している “ 建築において対になりやすい事柄 ” です。

 

家づくりは「性能」「価格」「デザイン・プラン」、大きく分けてこの3つ全てを両立することは不可能だと言われています。

 

耐震性や断熱性能と言った性能、そしてデザインや間取りの自由度を両立しようと思うと、当然価格が上がります。

 

耐震性というキーワードは家づくりにおいて大事なポイントではあるものの、このように相関する関係でもあるため、家族みんなの価値観を大事にした家づくりをすることが望ましいです。

 

上の図を見ながら、家族でいっしょに話し合ってみるとよいでしょう。

 

▶ 詳しい解説は…家づくりのスタートの参考に!住宅会社を選ぶためのキホンと考え方

 

3. 地震に対する備えとして新築で有効なアイテム

それでは地震を想定したときに、取り入れておくと安心感の高い設備を紹介していきます。

 

こちらで紹介している設備は、YUIでも採用事例があるもので、地震に対する備えを万全にしておきたい方におすすめのアイテムになっています。

 

3-1. 制震ダンパー

家へのダメージを減らす制震ダンパー

制震ダンパーとは、柱の間に斜めに装備し、建物の揺れを吸収してくれるダンパーです。

 

様々な方式のダンパーがありますが、この制震ダンパーを入れたからと言って、地震で家が揺れないというわけではなく、揺れをできるだけ抑えて家に対するダメージを減らすことが目的です。

 

今回の能登半島地震でも繰り返しの余震が怖かったですが、細かい地震の揺れにも効果を発揮しやすく、熊本地震での実績も高いです。

熊本地震での制震ダンパーの実績

出典:住友ゴムのMIRAIE(ミライエ)

 

上図は熊本地震の断層帯と、制震装置を導入した住宅の位置関係を示したものですが、制震ダンパー(MIRAIE)を採用した住宅の倒壊・半壊がなく、安心感が高い装備です。

 

制震ダンパーは家の大きさ・間取りにもよりますが、比較的高額ではない価格で導入できます。

 

また、地震の揺れを吸収する免震構造も可能となっていますので、より安心感を求める方はご相談ください。

 

3-2. プレウォール工法

北陸エリアで採用している工務店が多いプレウォール工法

出典:プレウォール

 

北陸エリアでは採用している工務店が多いプレウォール工法

 

木造住宅は、軸組工法として柱・梁という骨組みで作る家が一般的ですが、プレウォール工法は、柱と壁を組み合わせた工法です。

 

従来からあった在来工法の特性と、ツーバイフォー工法の特性をかけ合わせたような工法となっており、「強さ」と「快適さ」を両立しやすい工法になっています。

 

プレウォール工法の場合、木質パネル自体の強度が非常に高い特徴があり、これらの強靭な壁を組み合わせて耐震性の高い住宅を創り上げます

 

大手ハウスメーカーではミサワホーム様が採用している工法に似ており、耐震性だけでなく断熱性や耐久性にも優れており、積雪が多い北陸エリアにピッタリの耐震工法です。

 

YUIでは、プレウォール工法での建築も可能となっていますので、耐震性を高めたい方はプレウォールでの検討もさせていただきます。

 

4. まとめ

耐震に関する基本的なポイントのまとめ

今回、能登半島地震を受けて耐震に関する基本的なポイントを解説しました。

 

YUIでは、耐震性能および耐震等級については、注文住宅としてご希望に沿った形での設計が可能です。

 

ただし、YUIでは単純に耐震等級3にするだけではく、お客様ご家族の家づくりの価値観や、最終的なコストなどでバランスを取りながらプランを設計していきます。

 

こっちを取ると、あっちができない、ということが建築上どうしても出てしまう場合、それぞれのメリット・デメリットを、経験が豊富な建築士がご説明しながら打合せを進めていくスタイルを取っています。

 

大地震の後で、非常にナーバスになる時期ではありますが、将来的なことや家族の価値観もこの機会にしっかり考えてみてもよいでしょう。

 

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