二世帯住宅にもいろいろあります
親世帯と子・孫世帯の二世帯などの別々の世帯が、
二世帯住宅を構えて生活空間を共にした一つの家に住む形が「同居」。
2つの世帯が同じ敷地内やすぐ近くに二軒の家を構えて隣同士に住んだり、
玄関や生活空間を完全に分けた「完全分離型」の二世帯住宅で暮らすことを
「隣居」と呼んでいます。
一昔前には「同居」と言えば、現在ある住宅にそのまま入り、
キッチンも水回りもリビングも一緒の「完全同居」を思い描く方が多かったでしょう。
しかし、今は同居の考え方も多様化。
子世代、親世代それぞれの生活スタイルを尊重した住宅が求められ、
「隣居」や「部分共有」をする住宅も増えました。
・完全分離型…玄関、キッチン、お風呂、リビングも分けて完全に生活を分けた住宅
・部分共有型…玄関、お風呂は共有でキッチンは分けるなど、部分的に共有する住宅
・完全共有型…玄関、キッチン、お風呂、リビングも全て同じ住宅
二世帯同居の課題について考えてみましょう
では、実際二世帯住宅を建てた場合のメリット、デメリットは何でしょう?
◆メリット
・子育て協力・・・親世帯に子育てを助けてもらえ、孤立感や負担感が防げます。
共働きの子世代にとっては、保育園の送迎や小学校が終わってからの受け入れや、
夏休みなどでの親世代の助けは有り難いもの。
急な子供の体調不良にも対処してもらえ、助け合いながら働けます。
・家事の助け合い・・・二世帯で、食事や掃除などを分担できます。
共有部分を分担することで、各々の家事の負担は減ります。
宅配便の受け取りや、庭木の手入れなども頼めます。
・精神的な安心・・・親世代、子世代お互いに体調を崩したときなど、
すぐ補佐ができ助け合えます。
子世代がすぐ側にいてくれるので、親世代は老後の心配も薄れ安心感があります。
また、孫がいると生活に張り合いが生まれます。
・経済面の有効活用・・・親世代の土地活用により、建物に建築費用が回せます。
住居ローン、光熱費、固定資産税も抑えられます。
「小規模宅地等の特例」により、相続においても優遇されます。
・防犯・・・単世帯よりも誰かが在宅の場合が多く、防犯面でも利点があります。
◆デメリット
・生活スタイルや価値観のズレ・・・長年培ってきた生活スタイルや価値観は直らないもの。
相手に合わそうとすればするほど、無理が出てストレスになることも。
同居前に話し合いをして、ある程度お互いの生活パターンを把握しておくのが良いです。
・経済負担と家事負担・・・同居するにあたって光熱費や食費の負担割合、
家事の分担についても話し合っておくと良いでしょう。
親世代が現役の内は良いのですが、老後になり収入も減ると、
費用の負担割合の見直しも必要です。
また、家事分担も、言わなくてもわかるでしょうというのは理想論。
生活スタイルに応じて話し合いが必要です。
デメリットを無くすためには、二つの世帯はまったく別物だという意識が大事です。
例えば、家事分担。
まずは話し合いをして、それぞれが自分のやり方を大事に思っている場合は、
完全分離型の住居から間取りを考えると良いでしょう。
その上で、「何を一緒にする?」と玄関やオープンデッキなど、
共有部分をプラスする方向で話し合うと良いでしょう。
同居を推進する制度もあります
三世代同居が再び注目されているのは、
少子化が進み、子育て中の親の孤立感や負担感が大きいことが、
妊娠、出産、子育ての制約になっていることがあるようです。
子育てを通して世代間で必要な時に支えあうことを目的に、
三世代同居や近居が国を挙げて推進されています。
実際、自治体からの補助もあり、
富山県には「住みよい家づくり資金融資制度」があります。
このような制度も利用してみると良いでしょう。
◆子育て世帯への融資「住みよい家づくり資金融資制度」
この融資制度により、多子同居・三世代同居の世帯は、
融資限度額500万円以内で返済期間15年以内の利息相当額が全額利子補給され、
実質無利子化されます。
三世代近居は、利息相当額の内0.6%が利子補給されます。
多子同居 |
23歳未満の3人以上の子が現に同居し、または同居しようとする世帯 |
三世代同居 |
本人を含む3世代(子が23歳未満の場合に限る)が現に同居し、または同居しようとする世帯 |
三世代近居 |
親世帯と同一の町内会(又は直線距離500m以内)に居住しようとしている世帯(子が23歳未満) |
融資利率 |
1.6%(固定金利) |
対象工事 |
・新築
・購入(中古住宅・マンションを含む)
・各種リフォーム(キッチン・浴室・トイレ・玄関・居室のうち少なくとも1つを増設又は改修する工事) |
利子補給 |
・多子同居、三世代同居世帯については利息相当額を全額利子補給により実質無利子化
・三世代近居については利息相当額のうち0.6%分の利子に相当する額を利子補給 |
詳しくは、富山県のホームページもご覧ください。
▶ 住みよい家づくり資金融資
親世代にとっての同居のメリットは、
精神面での充足感が一番大きいかもしれません。
年を重ねて不安に思う気持ちも、孫との暮らしが解消してくれます。
同居したけど、うまくいかなかったなんてことにならないように、
話し合いをして二世帯どちらにとっても住みやすく納得できる住宅が
建てられたら良いですよね。