2025.03.07

2025年の新築を考えられている方は必見の補助金制度「子育てグリーン住宅支援事業」の概要を、わかりやすく要点を絞って解説します。いくら補助金がもらえるの?いつから?といった概要から、補助金のデメリットまで紹介。ぜひ家づくりの参考に。
今回は、2025年(令和7年)に新築される方に必見の補助金情報です。
気になる補助金の額はいくら?いつから始まるの?こんな基本的なポイントや、補助金をもらうことによるデメリットなどまで抑えておきましょう。
特に今回は新築に関する情報に絞って解説をしていきます。
それでは、まず今回の補助金情報での要点からみていきましょう。
・新築は、最大160万円 / 戸 と過去最大級の補助額が注目を集めている
・160万円が適用されるケースは、「GX志向型住宅」といって長期優良住宅・ZEHよりも1段階、断熱性能・省エネ性がすぐれている住宅の場合
・長期優良住宅の補助金は、100万円もしくは80万円、ZEHの補助金は60万円もしくは40万円(いずれも既存住宅の取り壊しがあるか無いかで金額が変動)
・24年11月以降に着工した建物が対象で、これから注文住宅を考える方はちょうど適用できる補助金制度(3月下旬受付開始予定)
・補助金をもらうデメリットは間取り・設備機器の制約、そしてプラスアルファの費用がかかるケースも考え、住宅ローンの借入可能額などを冷静に見ながらすすめることがおすすめ
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1. 子育てグリーン住宅支援事業の補助金額
2025年(令和7年)における、新築・リフォームでの最大の注目を集める補助金制度と言えば、「子育てグリーン住宅支援事業」です。
今回の補助金は例年の補助金よりも多い、最大160万円 / 戸 という補助金額がより一層注目を集めるようになっています。
そんなオトクな補助金制度の内容をまずは気になる補助金額の部分をみていきましょう。
1-1. 住宅の種類によって160万円~40万円と幅がある(新築)
住宅の種類 | 補助金額 | 補足 |
GX志向型住宅 | 160万円 / 戸 | ー |
長期優良住宅 | 100万円 / 戸 | 既存住宅解体あり |
80万円 / 戸 | 既存住宅解体なし | |
ZEH | 60万円 / 戸 | 既存住宅解体あり |
40万円 / 戸 | 既存住宅解体なし |
まずは一覧表として、上記の通りに住宅の種類に応じた補助金額をまとめました。
160万円が適用されるケースは、「GX志向型住宅」といって長期優良住宅・ZEHよりも1段階、断熱性能・省エネ性がすぐれている住宅の場合に限ります。
GX志向型住宅とはなに?と思われた方は、後ほどわかりやすくカンタンに解説いたします。
つづいて長期優良住宅の補助金額は100万円もしくは80万円、ZEHでは60万円もしくは40万円となっており、いずれも既存住宅の取り壊しがあるか無いか?で金額が変わる点に注意です。
つまり、建て替えなどで既存の住宅の取り壊しがあると、長期優良住宅・ZEHの場合は20万円追加になるわけです。
1-2. 長期優良住宅とZEHに関しては年齢制限あり
補助金額を確認したら、今度はその他の注意点になります。
住宅の仕様に関してはハウスメーカー・住宅会社側にある程度任せるにしても、業者側でどうしようもない条件があります。
それは、年齢制限がある点です。
長期優良住宅およびZEHとして、子育てグリーン住宅支援事業の補助金を適用しようと思うと、若者夫婦世帯もしくは子育て世帯でないといけません。
◆適用世帯の条件
若者夫婦世帯 | 18歳未満の子を有する世帯 |
子育て世帯 | 夫婦のいずれかが39歳以下の世帯 |
GX志向型住宅では上記の条件がないため、この条件から外れる方はGX志向型住宅を狙うことになります。
1-3. 補助金はいつから適用?
経済対策閣議決定日(令和6年11月22日)以降に、新築は基礎工事より後の工程の工事、つまり上棟と呼ばれる構造躯体が形となる工事を行なった工事が対象となります。
つまり、今こちらの記事をご覧になっている方は、これから新築を考える方かと思いますが、注文住宅であれば対象となります。
建売でも適用される見込みですが、住宅性能への適用だけでなく、この時期の条件もクリアしないといけないため、現在既に建っている建売でこの補助金を適用することは、現実的に不可能です。
こちらの記事公開時点で、注文住宅を具体的にスタートしている方は、ちょうど使える補助金となっています。
なお、受付開始は3月下旬を予定しています。
2. GX志向型住宅とは?
ここで、GX志向型住宅とはどんな家なのか?について、わかりやすく解説していきます。
一言で言えば、長期優良住宅やZEHより、断熱性能と省エネ性がいい住宅です。
2-1. GX志向型住宅の基準
政府や各省庁は、日本全体のカーボンニュートラルの実現のため、さらなる省エネを推し進めています。
そのなかで、GX志向型住宅は長期優良住宅やZEHよりも高い省エネ性を有する住宅として位置づけられた「新たな住宅」です。
長期優良住宅やZEHとの大きな違いは、下記の表のとおりです。
GX志向型住宅 | 長期優良住宅 | ZEH | |
断熱性能
※断熱材などに よる保温性 |
等級6以上 | 等級5以上 | 等級5以上 |
省エネ性能
※設備機器の エコ度合い |
一次エネルギー消費量
削減率 35%以上 |
一次エネルギー消費量
削減率 20%以上 |
一次エネルギー消費量
削減率 20%以上 |
耐震性能 | 規定なし | 等級2~3
※等級2は条件有 |
規定なし |
大きな違いは、断熱性能や省エネ性が1ランク高くなっている点です。
しかし、今から新築をされるみなさんは細かい部分はそこまで気にする必要はありません。
住宅会社側で細かい計算を行いますが、基準に適合するかどうか?実際に間取りを作ってみないとわからないため、まずは「断熱や省エネ性が高い住宅なんだな」ぐらいまで抑えておけばよいでしょう。
また、長期優良住宅は断熱性能や省エネ性以外に、耐震性・耐久性といった要件に関する条件もあります。
長期優良住宅は第三者機関による認定を取得することで税金の優遇制度・金利優遇などを受けることができる点が、ZEHやGX志向型住宅との違いです。
これらの税制優遇は、ZEHやGX志向型住宅にはない特徴になっており、補助金額だけでGX志向型住宅に飛びつかないようにすることが賢明です。
補助金にデメリットなんかあるの?と思う方も多いでしょうが、そのデメリットは2つあります。
1つがスケジュールの制約、もう1つが設備機器・間取りの制約です。
3. 補助金はもらうメリットとデメリットを考える
つづいて、補助金をもらうことはメリットだけではなく「デメリット」もしっかり理解した上で、住宅会社と導入を相談しましょう。
補助金にデメリットなんかあるの?と思う方も多いでしょうが、そのデメリットは2つあります。
1つがスケジュールの制約、もう1つが設備機器・間取りの制約です。
3-1. スケジュール上の制約
制度により若干異なりますが、申請を出して適用が下りてからでないと着工できない、といったスケジュール上の制約が出てくることが多いです。
また補助金は、国や自治体の予算で賄われています。
そのため、年度で区切られることが多く、制度によっては年度内に完了する工事を前提としている場合もあります。(遅れる場合は理由書なども必要)
つまり、補助金の予定を考えながら家づくりをすすめることになるため、ゆっくりマイペースに考えよう、ということは難しくなります。
具体的には2025年3月下旬には受付が開始され、先着順となるため「変な焦り」も出てきます。
3-2. 設備機器・間取りの制約
補助金をもらうためには前章で紹介したような断熱性能や省エネ性をクリアする必要があります。
そのため、補助金の適用できる設備機器(高額になることが多い)からしか選べない、といった制約が発生します。
また省エネ性で特に影響が大きい設備が、冷暖房設備です。
床暖房を入れると、省エネ計算上は不利に働くケースが多く、例えばGX志向型住宅の基準に届かないといった事態になり、床暖房を諦めるか?補助金を諦めるか?という悩みに陥ります。
他の設備機器でカバーできればいいのですが、物理的に限界もあったり、コスト面でもアップしてきたりする可能性が高く、補助金をもらうために補助金以上にコストが上がってしまっては本末転倒です。
さらに補助金の適用有無を工事が始まる前に確定させるため、各種計算や間取りを確定させた上で補助金の申請を出して工事にかかります。
つまり補助金の申請を出すと、そこから変更できない箇所が発生しますので、注意が必要です(性能がよくなる変更は問題ない場合が多い)
このように、補助金はメリットだけでなくデメリットも存在しており、住宅ローンの借入可能額などを冷静に見ながらすすめることがおすすめです。