家づくりコラム

2024.08.02

コラム暑さ対策と外観デザインを両立できる?おすすめの家の遮熱対策とは

昨今の日本の夏の暑さは異常なものがありますが、新築でやっておくべきポイントは何か?をお伝えしていきます。最近はZEHとして断熱性能がもてはやされていますが、実は夏の暑さは断熱性能だけでなく、日射の考え方が重要。今回はその方法などを紹介。

 

昨今、春が早く過ぎ去り夏がすぐ来てしまう印象がありますよね。

 

今回は夏の暑熱対策として家の設計でできること、そして外観デザインとのバランスを含めてどんな設計がいいのか?という疑問の参考になる内容になっています。

 

富山は冬の大雪対策はもちろんですが、温暖化に伴う夏を涼しく過ごせるよう、今回の記事を参考になさってください。

 

それでは、まず今回の記事の要点から見ていきましょう。

 

 

断熱性能(UA値)だけ上げても暑さ対策としては不十分であり、夏の日差しを取り入れない工夫が大事

 

・現在の省エネ基準では、外付けの庇やルーバーの遮熱効果は数値で現れないものの、現実的な生活においては重要な要素である

 

日射取得は夏の時期と冬の時期とのバランスが大事であり、夏は窓ガラスだけでなく日差しを直接的に遮る方法との併用が有効的

 

・庇(ひさし)が有効的ではあるものの、モダンやシンプルな外観デザインに悪影響になることが多いため、一時的に設置するオーニングなどがおすすめ

 

コートハウスやインナーバルコニーなどを組み合わせることで、季節に応じた対策もしやすい

 

 

1. 室内の暑熱対策で注目すべきは断熱(UA値)だけではない

室内の暑熱対策で注目すべきポイント

出典:YKKAP・カタログ

 

昨今、ZEHなどで断熱性能(UA値)を高めていくことに住宅業界全体でも注目が集まっています。

 

しかし、結論からお伝えすると、UA値だけに注目をしていると夏の室内の暑熱対策としては不十分といえます。

 

むしろ、断熱性能だけを上げてしまうと、夏は冷房費が高くなるというデータもあり、逆効果にすらなりえるでしょう

 

その理由をわかりやすくお伝えしていきます。

 

1-1. 暑熱対策として知っておくべき日射熱取得率

知っておくべき暑熱対策

夏の暑熱対策の指標として、建築物省エネ法でも基準になっている「冷房期の平均日射熱取得率ηAC(イータエーシー)値」というものがあります。

 

ηAC(イータエーシー)値とは、特に夏の時期、家にあたっている日射熱が室内に侵入する比率を表した値です。

 

この数値は、小さいほど日射遮蔽ができている­=日差しを取り入れすぎない設計になっている、という意味になります。

 

ただし、これも小さすぎると夏は良いものの冬に日射が悪くなり、あまり暖かくない家になってしまうため、設計におけるバランスが大事になってきます。

 

UA値で示される断熱性能は、あくまで家全体の平均の断熱性で、窓の面積が大きいリビングは、日射による影響がほかの部屋に比べて相対的に大きくなりがちです。

 

そのため、平均的な断熱性だけを高めても、特に日射による影響が大きい夏は「思ったよりリビングの冷房の効きが悪い」となってしまうリスクも潜んでいます。

 

 

 

1-2. ひさしやルーバーを組み合わせる

遮熱効果のあるエクステリア

出典:ボーダレスにつながる2階リビングの家

 

夏の遮熱対策だけを考えると、庇(ひさし)やルーバーがあった方がいいのですが、一方で冬の時期は日差しを取り込みたいですよね。

 

ただ、季節によって伸縮したりするような庇は存在しないため、窓の外部に設置するブラインドやオーニングのようなエクステリア商品で調整することになります

 

また、新築を検討する際には、断熱性能を表すUA値や省エネ性を表す一次エネルギー消費量(もしくはBEIなど)といった指標がありますが、外付けの遮熱効果があるルーバーなどの遮熱効果は、数値に現れません

 

しかし、現実の生活においては大きな効果をもたらすため、窓ガラスの性能だけでなく、ルーバーやオーニングと言われる「家の外側で日射をカットするモノ」の存在が大事になってきます。

 

この家の内部に熱が入り込んでくる前にカットするという点がポイントで、窓の内側でカーテンなどを閉めていても、熱は室内に入ってきているため、あくまで窓の外側で日射をカットすることが重要です。

 

このようなエクステリア商品などと組み合わせることで、より一層夏を快適に過ごせるようになります。

 

1-3. 窓ガラスの選び方

断熱・遮熱効果がある窓ガラス

出典:パノラマの景色が広がる家

 

続いて、窓の選び方にもコツがあります。

 

YUIでも活用している昨今の高性能な窓の場合、Low-Eと呼ばれる断熱・遮熱効果があるフィルムがガラスに貼られています。

 

このフィルムの貼り方によって、「日射取得タイプ」と「日射遮蔽タイプ」にわかれます

 

室内側の保温性をアップする高性能な窓

出典:YKKAP

 

 

 

「日射取得タイプ」の場合、日差しは積極的に取り込みつつ、室内側の保温性をアップするような仕組みになっています

 

このガラスは一般的に、南側に採用されることが多いです。

 

理由は、特に冬季に南側から日差しをしっかり取り込んで室内を暖かくすることが目的になっています。

 

一見、夏だけを考えると逆効果なような気がしますが、それは先ほどお伝えした、庇やエクステリア商品で窓の外側で日射をカットすることで、夏だけの日射を防ぐわけです。

 

窓ガラスは、季節に応じてガラスを入れ替えるわけにはいかないので、庇やルーバーで夏の日差しはカットしながら、冬の日差しだけを取り込むことを推奨しています

夏に涼しい高性能な窓

出典:YKKAP

 

一方で「日射遮蔽タイプ」の場合、熱の流入・流出を防ぐことを目的としており、どちらかといえば日射をカットしやすいような窓になっています。

 

このガラスは主に直接的に家に入ってくる西日などをカットすることを目的に採用されることが多く、南面以外の方位に設置されることが一般的です。

窓の表面温度の比較

出展:YKKAP

 

実際の窓の表面温度も、上記のとおり一般的な複層ガラスに比べて、日射遮蔽型のタイプの場合は5℃以上低い結果が出ています。

 

このように、方位や家の設計、ひさしなども考えて窓の性能を考えていく必要がありますが、実際には家を建てる皆さんが全部選ぶのは難易度が高いです。

 

そのため、建築地に合わせて日射なども考えてくれる住宅会社を選ぶことが、みなさんにとって大事なポイントであるといえます。

 

2. 暑熱対策におすすめのエクステリア商品

ここからは、住宅に造り付けになる庇(ひさし)以外の、エクステリア商品を簡単にご紹介していきます。

 

2-1. ルーバー / オーニング / シェード

暑熱対策におすすめのエクステリア商品

出典:YKKAP

 

1つ目は、オーニングやシェードと呼ばれるものです。

 

昔の「すだれ」と同様の効果があるもので、窓を覆うように設置することで、窓から日射が入り込みにくくする効果があります。

 

一般的な単板ガラスの場合、おおよそ70%の熱が窓から入り込んでくると言われており、窓にかかる日射を防止することは、光熱費の節約・室内温度の安定化に役立つでしょう。

 

なお、上記の日本オーニング協会のデータでは、オーニングの有無で約6℃の差があるとされており、冷房負荷を一気に下げることにつながります。

 

2-2. 外付けブラインド

暑さ対策に有効な外付けブラインド

出典:YKKAP

 

 2点目は外付けブラインドです。

 

ブラインドと聞くと、室内側に上下させるタイプを思い浮かべる方も多いでしょう。

 

しかし、そのブラインドを外側に設置するエクステリア商品があり、電動タイプであれば角度を調整し、光の入り方だけでなく隣地からの目隠しにも使えます

 

また、外付けブラインドの良い点は、日射をカットしながら風を通すことができるため、冷房を使いたくない方や、涼しい時期などはこの外付けブラインドがあると便利でしょう。

 

2-3. 設計上の工夫をする

暑さ対策に有効な外観デザイン

出典:街中の白いデザイナーズハウス

 

注文住宅で外観などもこだわってくると、庇がどうしても見た目を損ねてしまったりすることがあります。

 

そんなとき、例えば上記の事例では2階をオーバーハング(飛び出させるような構造)させ、庇の代わりにしています。

 

また、和風な住宅であれば、軒を大きくつけてもよいでしょう。

 

このように遮熱対策と同時に、外観とのバランスもしっかり考えていくと、性能とデザインが両立されたステキな新築になるでしょう

 

3. まとめ

暑さ対策がされた快適な家

今回は、暑熱対策としての設計上の考え方をお伝えしてきました。

 

昨今は、一般の方でも断熱性能を気にされる方が増えてきましたが、庇やエクステリア商品などを組み合わせたり、窓の設計を考えることで、暑熱対策ができます。

 

YUIでは、デザイン住宅を得意としていますが、このような暮らしに寄り添った設計もコーディネートしており、デザインだけでなく快適に暮らしたいという方からもお気軽にご相談を受けています。

この記事に関連するタグの一覧を見る

アーカイブ

ページトップ