2025.09.19

間取りを作成する際、和室・タタミコーナーは安定した要望がありますが、使い勝手や使用目的を明確にしておかないと、意外と住み始めてから使用頻度が少ない空間になってしまいます。今回は和室・タタミコーナーを使用目的から事例を交えて解説します。
今回は、近年の住宅事情からも考え方がわかれる、和室について深掘りしていきます。
純和風からモダンな和室、小上がりにするかしないか?リビングとつなぐかどうか?など、和室・タタミコーナーについて客観的な視点から解説します。
和室、本当に必要かな?といったモヤモヤ悩んでいる方などにおすすめのコラムです。
それでは、早速コラムの要点から見ていきましょう。
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・和室・タタミコーナーは、まず「どんな使い方をする部屋なのか」という目的から考えないと失敗のもとになりかねない
・ごろ寝スペースとして人気が高いリビング併設型は、使い勝手の幅も広いだけでなくLDKの視覚的に広くする効果もある
・来客の有無でも使い方・設計は大きく変わってきて、来客を想定する場合は4.5畳以上かつ、仕切りの建具を入れると使い勝手がよくなる(トイレ・玄関位置との相関注意)
・ヌックとしての使い方をしたり、掘りごたつのように使いたい場合、空間としての縁を切って少しコーディネートに変化をつけたい場合は小上がりがあるとよい
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1. 使い方から考える和室のスタイル
出典:侘び寂びの心が宿る家
昨今は和室の出現率も昔に比べて減っており、モダンな和室をリビングの延長線上の配置にされる方が多くなっています。
一定のニーズ・人気がある和室・タタミコーナーですが、まずは「どんな使い方をする部屋なのか」という目的から考えないと失敗のもとです。
和室やタタミコーナーに魅力を感じた時、改めて家族での使用用途をハッキリさせて、どういうふうに使うか?を家族で話し合っておきましょう。
それでは、今回は様々な使い方から、和室・タタミコーナーのパターン別の特徴を抑えていきましょう。
1-1. リビングの延長のごろ寝スペース(段差なし)
出典:1階寝室、和モダンの家
1つ目はもっとも出現率の高い、リビングとフラットな形で延長線上に位置するタタミコーナーです。
一般的には3畳~4.5畳で構成されることが多く、様々な用途に向いています。
来客用と言うより、家族が普段使うスペースとしての目的が主であり、小さいお子さんの遊び場や洗濯物を畳む場所など、「ごろ寝スペース」として多用途な場所です。
リビングと隣接することで、リビングからの視線の抜けもできるため、LDK空間全体が広く感じられる副次的なメリットもあります。
1-2. 来客用(おもてなし・宿泊)
出典:プライベートテラスのある家
次に紹介するパターンは、リビングの延長線上でありながら、親族・ご友人が来客として訪れて宿泊などをされる場合です。
この場合、一般的には4.5畳以上の大きさかつ、リビングと隔てる建具を設けます。
建具があることで、独立した部屋として問題なく使用することができます。
さらには不定期で親族以外の来客がある場合など、おもてなしをするケースでは建具があることでリビングの生活感と分離できる部屋となって便利です。
来客がある方は、頻繁にくるか?どういった来客なのか?このようなポイントを設計士に伝えるとよいでしょう。
なお、このパターンの場合は玄関とトイレとの位置関係をしっかり考えて設計しないと、来客の動線で失敗に繋がってしまいます。
1-3. リビングの延長のごろ寝スペース(段差あり)
出典:高天井のあるモダンハウス
1つ目のパターンに近いですが、こちらのパターンはリビングとあえて段差を設けて空間を少し分離している点が違いです。
小上がりがあることで、空間としては連続性を持ちつつ、雰囲気としては縁が切れます。
バリアフリーの面から見ると、一見段差はない方がいいのでは?と思う方もいるかもしれませんが、リビングと少し雰囲気を変えたい場合には小上がりがあるほうがよいです。
小上がりがあることで天井高も必然的に低くなり、ヌックのような雰囲気も出しやすいです。
また、掘りごたつにしたい場合は小上がりになっている方が足を入れるスペースを確保しやすいです。
このあたりも、タタミコーナーをどのように使うのか?どんな間取りでどんな風に見えるか?多面的な見方で小上がりの有無を決めるとよいでしょう。
1-4. 子どもの遊び場、お昼寝場所
出典:温もりを感じる、和モダンの家
つづいては新築1次取得層で比較的多いニーズとして、子どもの遊び場・お昼寝場所として使うパターンです。
この場合における段差の有無は、将来的な使い方・来客に有無で決めればよいですが、畳数としては3畳ぐらいでも十分なスペースとなります。
上記の事例では3畳+収納という設計になっていますが、お子さんのスペースとしてはまさにちょうどいい大きさです。
また、例えばどちらかの両親だけが年に何回か泊まりくる、でも建築費用はできるだけ抑えたい場合などは、3畳でも十分役割を果たすでしょう。
1-5. 仏間
出典:セカンドライフを叶える平屋
時代の変化から減っていますが、仏間の要望も一定数存在します。
自宅に来客が多い方や、しっかりとした仏間をご要望される方の場合、床の間・仏間スペースがある和室をプランニングすることもあります。
上記の事例ではリビングとの連続性を重視して、比較的モダンなコーディネートでまとめていますが、中には純和室に近い雰囲気にされる方もいらっしゃいます。
純和室は一般的な洋風の部屋と違い、真壁工法(のような見せ方)にするかどうかです。
真壁工法とは、柱や梁がそのまま剥き出しで見えるような壁の納め方ですが、“和風感”を高めたい時に、真壁らしさを希望される方もいらっしゃいます。
真壁工法のような見せ方は、床の間・仏間との相性もよく、茶道・華道などをされる方などで採用されるケースもあります。
1-6. デスクスペース
出典:インナーガレージのある和モダンの家
6つ目はデスクスペースを併用したパターンです。
これまでに紹介したような使い方に加えて、書斎のような使い方をプラス。
上記の事例ではリビングとはフラットな形にして、壁面にカウンターをつけて足を入れられるようにしています。
リモートワークや、ちょっとした作業をされる場合に重宝するスペースとなっており、和室・タタミコーナーの使い方が広がります。
1-7. ヌック的な使い方
出典:カジュアルモダンハウス
最後にご紹介するパターンは、ヌック(スコットランド語のヌーク(neuk)が語源の居心地のいいこじんまりとした場所を意味する言葉)のような使い方です。
上記は掘りごたつのようになっているデスクと、収納量抜群の本棚を併設しています。
書斎としての使い方だけでなく、お子さんともいっしょに本を読んだり、趣味の読書を楽しむことができます。
読書が好きな方であれば、和室のたたみでゆっくりと過ごす時間もよいのではないでしょうか。
1-8. スキップフロア × タタミコーナー
出典:縦横に広がる空間を楽しむ家
最後はスキップフロアと組み合わせるパターンです。
上記の事例のように、階段の途中に設置するパターンもあれば、基礎空間を利用して階段の下部を利用するパターンもあります。
畳を敷いてリビングの延長線上で使うのであれば、階段の途中に設けるパターンの方が使い勝手はよいでしょう。
今回、タタミコーナーの様々な使い方の事例を紹介してきましたが、いずれも目的をしっかり持つことで、空間としての価値がグッと上がります。
2. 寝室として使う想定であれば最初から洋室
出典:変化するライフスタイルに寄り添う住まい
間取りを考えていくと同時に悩ましい問題が、1階に寝室を配置したいときです。
富山でも平屋ブームではありますが、土地面積や建築費用など様々な課題から、平屋という選択肢を取りたくても取れない場合も多いです。
そのとき1階寝室という選択肢になりますが、1階に和室と寝室両方を備えると面積も大きくなっていきます。
となると、寝室は2階に設けて1階の和室を将来的には寝室にしようか?と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、結論的には寝室想定であれば、最初から独立した洋室の方がよいでしょう。
また、リビングに隣接する形で設計されることが多い昨今の和室・タタミコーナーの場合、位置的にそのまま寝室に転用しようとすると、音などの問題もあり必ずしもその場所を寝室として使えるかどうかは微妙です。
そのため、新築設計時点で建築コスト・使い方などを踏まえて、用途を明確にしておくとよいでしょう。
3. まとめ
出典:LDKから始まる様々な広がり空間
今回は、YUIの施工事例から和室・タタミコーナーの使い方をご紹介しました。
和室をつくって、どんなふうに過ごしたいか?が明確にあったほうが、暮らしにマッチするでしょう。
SNSやインスタグラムでみて、オシャレに見えたというだけでは和室・タタミコーナーは造らない方がよいでしょう。
YUIでは、みなさんご家族の要望を聞き取りながらプランニングしていきますが、「なんとなく」ではなく「どんな使い方をするか」「本当に必要かどうか」などを考慮しながらご提案しています。
また、和室は流行りのモダン・シンプルなコーディネートと合わせるためには、少し設計・デザイン上の工夫が必要です。
和室を含む施工事例を確認しながら、住宅会社の力量を確認して検討してみましょう。










