2025.07.18

注文住宅の場合、土地から探されている方も多いのではないでしょうか。今回は、土地だけで探すのではなく住宅といっしょに考えるべき理由と、最終的な土地探しの理想形を解説していきます。後半ではYUIの施工事例を用いて周辺環境と設計のバランスを紹介。
新築を検討中の方の中には、土地から探している方も多いでしょう。
まだ土地をお持ちでない、これから土地もいっしょに検討する方向けに、よくある失敗から注意すべきポイントをピックアップしていきます。
最初に知っておくことで防げるポイントになっていますので、ぜひ参考にしてください。
それでは、まずは今回のコラムの要点から見ていきましょう。
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・エリアや坪単価も大事ですが、土地+建物+諸経費という「総額」で考えないと、後々になって「帳尻合わせ」が発生する
・同じ土地でも、上手く活用できるかどうか?は住宅会社の力量によるため、土地を探す前に設計力が高く信頼できる住宅会社を探す方が先
・100点の土地は存在しないと思ってよいでしょう。建築側で100点に近づけていくことが、注文住宅の醍醐味であり、住宅会社の仕事でもあります
・コラム後半では、土地を有効活用した施工事例を紹介
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1. 土地の単価や価格だけで判断できない
土地を探す際には、ご自身が希望されるエリアや価格から検索される方が多いでしょう。
しかし、「こんなところに、こんな売り地があるんだ」という参考程度にはなりますが、実はこの時点で土地が安いか高いか?という判断は基本的にできません。
その理由は、どんな建物がいくらで建てられるか?がわからないからです。
駐車場にする目的で土地を買うなら別ですが、このコラムをご覧になっている方のほとんどは家を建てる目的で土地を購入検討されていることでしょう。
そのため、最終的に土地+建物+諸経費という「総額」で考えないと、安い・高いという価格の判別や、購入する・しないという最終的な判断をくだせないわけです。
1-1. 土地だけで探すと最終的に建物にシワ寄せがいきやすい
ご家族内の最終的な上限となる予算はいくらで・・・という試算は、年収での借入可能額などから、おおよそ判断できます。
今回は仮に富山市に土地から購入するケースを想定して、4,000万円を最大予算にしているご家族をイメージしていきましょう。
土地だけで選びはじめて、仮に1,500万円の土地を希望として選んだとします。
建物や諸費用でかけられる金額は残りの2,500万円です。
この時点で、「2,500万円なら、坪単価 約70万円の35坪の家が建てられるかな?」という皮算用をされていないでしょうか?
実は新築、特に注文住宅の場合は、土地と建物本体以外に様々な費用が掛かるため、このケースの場合、だいたいではありますが建物本体にかけられる費用は、1,700~1,800万円ぐらいでしょう。
このように土地の金額を最初に固めてしまうと、後々になって建物の大きさを小さくしたり、仕様を落としたりといった「帳尻合わせ」が発生しやすくなります。
例えば、費用の上限が決まっているのであれば、建物の大きさだけでなく土地のエリアを変更する、もしくは土地を小さいものにする、といった最初の土地選びの段階の調整が必要です。
もっとも、土地だけでは住宅ローンが組めないため、住宅ローンを利用される方は総額をしっかり検討しやすい状況がありますが、土地の決済もいつまでも待ってくれるわけではありません。
短期間の中で、総額はある程度の概算で決めないといけない状況もあるため、住宅会社と連携をしっかり取って検討していくことが重要です。
2. 土地だけではいい土地かどうか分からない
つぎに、一般的に土地を見ただけで、どんな家が建つか?間取りなどを瞬時に考えることは難しいです。
土地は単純に形状だけでなく、接道と呼ばれる道路にどう接しているか?という状況や、高低差がどうなっているか?など、様々なポイントを確認する必要があります。
さらにパッと見で良さそうに見えても、目に見えない法規制の観点からプランニングが難しくなることもあり、プロでも入念に調査してからでないと正確な間取りは作成できないのです。
また、土地を選ぶときにはライフラインが家を建てるのに適した状態か否か?という点も非常に重要なポイントです。
このようなポイントをチェックして初めて、土地の良し悪しが判断できるのであり、自分で難しく考えるより最初から不動産屋・住宅会社に相談する方が早いでしょう。
3. 土地をよりイイものにできるか?住宅会社に左右される
つづいてお伝えしたいポイントは、不動産屋・住宅会社であればどこでもいいわけではありません。
同じ土地でも上手く活用できるかどうか?これは住宅会社の力量に大きく左右される点で、土地を探す前に設計力が高く信頼できる住宅会社を探す方が先とも言えます。
土地から探されている方は、まず土地を決めてから住宅を考える?と思いがちですが、前述したとおりで、料理と同じく同じ素材をどう調理するか?は料理人の腕前でも大きく変わってくるのと同じです。
そのため、ホームページやSNSで施工事例を確認したり、実際に話を聞きながら土地を上手く活用して、ご家族の要望を汲み取れそうな会社がどこなのか?を見極めていきましょう。
3-1. 100点の土地は存在しない
土地から探す家づくりで大事なポイントですが、100点満点の土地は存在しないと思って検討しましょう。
いい土地が出てきたら新築を始めると言われる方もいらっしゃいますが、求めすぎているとなかなか決められなくなる可能性が高いです。
数年以上待って、ゆっくり家づくりする状況であればよいですが、学区や費用などの最低限の部分だけ自分たちの条件をクリアしているのであれば、プランニングしてみましょう。
土地の欠点を、建築の設計側で100点に近づけていくことが注文住宅の醍醐味でもあります。
例えば、ほとんどの土地で隣には建物があるわけですが、建築側で視線が交差しないよう工夫すれば特に問題にはならないわけです。
「思い立ったが吉日」という “ことわざ” もあるように、許容範囲内の土地があれば気になっている住宅会社にプランニングを頼んでみるとよいでしょう。
4.土地有効活用の事例
YUIの過去の施工事例の中から、土地のデメリットを設計で回避した事例を紹介します。
4-1. 呉羽モデル
出典:北から光が落ちる家|呉羽モデル
1つ目の事例は、2025年に常設モデルハウスとしていた事例です。
こちらの建物は、上記の写真の右側(窓が大きくある面)が北、左が南という位置関係になっています。
北側には鉄塔があったり、西側(写真では奥側)には道路を挟んで商業施設があったり、と比較的外の景色からのノイズが多い場所に建っています。
しかし、写真からはそのようなにぎやかな雰囲気は感じられず、1年を通してカーテンもなく開放感に溢れた室内空間を実現しています。
この設計の “土台” として、カーテンが無くてもやさしく光を取り込んで、落ち着ける家にする工夫が盛り込まれており、固定観念などにとらわれない設計手法が生んだ事例となっています。
4-2. 永楽町モデル
出典:立ち止まって感じる心地よさ|永楽町モデル
2例目は、富山市の中心部に建つ約31.5坪の住宅です。
この家の周囲は、家が立ち並んでおり周囲からの視線をカットしたり、落ち着ける空間に仕上がるような設計の工夫が詰まっています。
施工写真にあるように、プライベートな中庭がある設計になっています。
この中庭が、中と外をつなぐ素敵な「中間領域」となっており、特にクローズ寄りな設計になっているからこそ、まわりの雰囲気を遮断して静かな空間を演出しています。
4-3. 寺町モデル
出典:ミニマムリッチに暮らす家|寺町モデル
最後は、分譲地内に建つモデルハウスです。
2025年夏オープンの最新のモデルハウスですが、こちらもLDKの外側をインナーテラスで囲って、まわりの雰囲気を消しています。
2方向道路ですぐ近くに隣家がある土地ですが、プライベート感を損なわず陽を取り入れる設計が見どころの1つです。
また寺町モデルでは、テラスを2方向から囲むように大きな窓が配置されていることや、高天井+掘り込みリビングになっていることで、空間の広さをより一層体感できるようになっています。
なお、こちらの記事公開時点の2025年は展示場として見学もできますので、ぜひ土地から見渡していただき、中に入った時との「ギャップ」をご体感ください。
詳細・ご予約はこちら。
5. まとめ
今回は、注文住宅における土地選びのポイントについて解説してきましたが、土地だけでなく建物のできあがりまでイメージして、土地を決めていくことがおすすめです。
そうすることで、みなさんが想像する以上の満足度になる注文住宅ができあがる可能性が高くなります。
YUIでは土地だけでなく、家の中から見える景色にもこだわる設計をしており、紹介した施工事例も更地の時点から、視線や風景まで描いて間取りを組み立てています。
土地探しからでもいっしょにお手伝いをさせていただいており、富山の地元の不動産屋とのつながりも豊富です。
時にはインターネットに出回っていない土地を探すこともありますので、土地で悩んでいる方もお気軽にご相談ください。







